2019年より適用されているIFRS16は、借手におけるリース会計の単一処理をベースにしており、ファイナンスリースとオペレーティングリースの区分を無くし、原則借手リースはオンバランスを要求しています。
これまでオペレーティングリースでは支払時に支払リース料のみで処理していましたが、IFRS16では契約時にリース料総額の割引現在価値で資産と負債の計上を行い、その後資産はリース期間に渡って減価償却を実施し、負債は実効金利法にて利息認識と債務の取り崩し処理を行うことが必要になります。
これらの変更に伴い、従来と比較して仕訳パターンは4倍~6倍に増える(図1を参照)ことが想定されますので、自社の業務やシステム影響も含めた検討が必要になると想定されます。

新リース会計基準の疑問に答えるQ&A
使用権資産は減損会計の対象になりますか?


対象になります。IAS36が適用されるため、資金生成単位毎に使用権資産の帳簿価額を含める必要があります。
減損に関する情報はリース会社の保有情報にはないため、減損兆候の把握や減損額の算出は自社で管理しなければ、タイムリーに情報把握ができないと想定されます。
再リースにおける会計処理はどのような扱いになりますか。


IFRS16では全ての借手リースに対して単一処理を要求しているため、再リースの会計処理はありません。
これまで再リースになればオフバランス化していたリース契約も、今後は再リース期間中もオンバランス計上を継続し、償却と債務計算を実施する必要があります。
貸し手の会計処理は変更がありますか。


貸し手の会計処理は変更はありません。従来通りファイナンスリースとオペレーティングリースの区分が残ります。
但し、転リース(サブリース)は注意が必要です。借りている資産(ヘッドリース)を貸す場合、貸す側のオンバランスの判定基準は従来の原資産からヘッドリースを基に判断することへ変更されます。これにより転リースはオンバランス範囲が変わる可能性があることに注意が必要です。