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2025/05/22

「影響額の試算」が最大の課題?新リース会計基準への対応、準備段階で見えた現場の実態と課題

~制度理解から始まる初期対応の“迷い”、現場の声から浮き彫りになった「方針整理」の重要性~


昨年9月に新リース会計基準の最終基準書が公表されてから約8ヶ月が経過し、準備を進める企業も増えてきています。そこで今回、当社は、経理担当者を対象に「新リース会計基準への取り組み」に関するアンケートを行い、準備過程において、現場ではどのような悩みや課題を感じているのか調査しました。


調査概要:「新リース会計基準への取り組み」に関する調査


【調査期間】2025年5月8日(木)~2025年5月9日(金)
【調査方法】PRIZMA(https://www.prizma-link.com/press)によるインターネット調査
【調査人数】1,007人
【調査対象】調査回答時に経理担当者(※)と回答したモニター
     (※)以下のいずれかの企業(またはその子会社・関連会社)にお勤めの方
       ・上場企業
      ・未上場かつ資本金5億円以上の企業
      ・未上場かつ負債総額200億円以上の企業
【調査元】株式会社プロシップ(https://www.proship.co.jp/)
【モニター提供元】PRIZMAリサーチ

新リース会計基準の自社への影響度・準備状況は?


はじめに、「新リース会計基準は自社にどの程度影響があると思いますか?」と尋ねたところ、『とても影響があると思う(28.1%)』『少し影響があると思う(47.7%)』を合わせて、約8割の企業が「何らかの影響がある」と感じていることがわかりました。
一方で「影響はない」と回答した企業も一定数あるようです。
いずれにせよ、制度対応が必要か否かの判断を早期に明確化することが今後の対応スピードに直結する要素となりそうです。

続いて、「新リース会計基準の適用準備に向けた現在の状況」について尋ねたところ、『プロジェクトチームが発足し、会社全体で取り組み中(34.4%)』『会社全体での取り組みはこれからだが、今後の予定が概ね決まっている(45.1%)』が上位を占めました。
制度施行を約2年後に控えた段階で、企業の多くが「進行中」のフェーズに入っているようです。
特に、プロジェクトチームが組成されている企業は全体の3割を超え、専任で取り組む体制構築が進んでいる様子が見て取れます。

一方で『制度理解のためセミナー参加など、個人的に情報収集中』『まだ準備を始めていない』といった企業も一定数あり、ばらつきがある状況です。


では、適用準備が進んでいる企業では、どのような点が大変だと感じているのでしょうか。


「新リース会計基準の検討にあたり、『特に大変だと思うイベント』」について尋ねたところ、『影響額の試算(45.3%)』『会計論点整理(44.5%)』『対象契約の調査、洗い出し(39.3%)』が上位に挙がりました。上位項目はいずれも「制度解釈」や「財務影響の見える化」に関するものであり、企業が判断に苦労していることがわかります。
中でも『影響額の試算』が最多で、基準変更によって資産・負債・利益がどう変わるかを正確に見積もる難しさが課題となっています。
対照的に『経理規定など社内規定の策定』や『グループ会社展開』といった社内体制整備は下位にとどまっており、「まず全体像を掴むこと」が最優先の課題として認識されているようです。


約6割が担当監査法人以外の外部支援活用を想定

準備段階での課題が浮き彫りになりましたが、担当監査法人以外の外部支援は検討しているのでしょうか。


「担当監査法人以外の第3者のアドバイザリー等の検討予定」について尋ねたところ、以下のような回答結果になりました。

  • すでに契約済み(15.9%)
  • 担当監査法人以外のサービスも検討する(42.1%)
  • 担当監査法人以外のサービスは検討しない(20.9%)
  • すべて自社内で検討をする(9.2%)
  • 未定/不明(11.9%)

「契約済み」「検討する」を合わせると約6割近くの企業が“外部支援活用”を想定していることが判明しました。
一方で、『担当監査法人以外のサービスは検討しない』『すべて自社内で検討をする』といった自力対応を選択する企業も一定数存在しています。 コストや時間の制約、または「まずは自社で全体像を把握したい」といった方針が背景にあると考えられますが、制度理解や影響額試算の判断軸を独自に整理するには、一定の専門知識や参考情報が不可欠です。 特に、判断の分かれやすい論点や契約の選定においては、方針が曖昧なままでは後工程に支障をきたす恐れもあります。 そのためには、自社主導で対応する企業でも活用できる外部支援サービスを検討してみるといいでしょう。

次に、「新リース会計の対象になる可能性のある契約書の洗い出し状況」について尋ねたところ、『すでに調査済み(23.5%)』『現在調査中(53.9%)』が上位を占めました。
約8割が何らかの形で調査に着手しており、制度対応に向けて具体的な実務工程が進みつつあることがわかります。
一方で『調査開始時期は決まっている』『未定/不明』といった層も2割強存在しており、準備の遅れや情報不足も散見される状況です。
特に、契約書調査はどれが対象になるのかという判断から始まるため、業務の属人化や過去契約の把握不足がボトルネックとなっている可能性もあります。


影響額試算の切り口と会計論点の検討課題

次に、影響額を試算する切り口や時間を要する論点について伺いました。

「新リース会計基準の影響額を試算する場合の切り口」について尋ねたところ、『自己資本比率(48.8%)』が最多で、『総資産額(37.2%)』『ROA(30.9%)』と続きました。

これらの項目はいずれも財務分析やステークホルダー対応において重要な指標であり、制度変更によって見せ方が変わることへの懸念が強く意識されていると考えられます。
中でも『自己資本比率』が最多であることは、財務健全性の指標としての位置づけが非常に高いことを示しています。



次に、「適用準備が進んでいる」と回答した方に、「検討に時間がかかる会計論点」について尋ねたところ、『リース期間(40.0%)』『リースの識別(35.6%)』『少額資産(33.7%)』が上位に挙がりました。

これらの項目は、制度上の定義があっても実務判断に幅がある領域であり、社内での方針決定や監査法人との調整が必要な点で共通しています。

特に、『リース期間』は契約更新や解約オプションの扱いに直結するため、その判断をめぐって議論が長引きやすい点が背景にあると考えられます。


システム導入に対する今後の見通しは?


令和7年度税制改正では、リース税制は現行と概ね変更がありませんでした。

新リース会計基準適用後、会計と税務の乖離が想定されるため、「申告業務に与える影響」についてうかがいました。

『影響は非常に大きい(19.5%)』影響はどちらかといえば大きい(44.3%)』『影響はどちらかといえば軽微(22.3%)』を合わせて、約9割の企業が「影響がある」と回答しました。
制度変更が単なる会計処理だけでなく、税務申告にまで波及するという認識が強く根付いているようです。今後は、会計と税務の差異をいかに整理・管理するかが、経理部門の新たな課題となるでしょう。

最後に、新制度対応にあたって「リース管理システムの新規導入・刷新予定」について尋ねたところ、約6割が『ある(35.4%)』『検討中(23.0%)』と回答しました。
制度対応に際して、新システム導入を検討している企業は多いことがわかりました。

システム導入の準備段階として、まず「どのような体制やルールで対応していくのか」といった社内方針の整理こそが先決課題として重要です。
何を自社の基準とするかなど、判断方針を明確にすることで初めて、システム活用の効果も最大化されるでしょう。


まとめ:制度対応の第一歩は「社内の方針整理」から!
新リース会計基準をめぐる現場の実態と課題が明らかに

今回の調査で、多くの企業が新リース会計基準の影響を認識し、実務対応に向けた取り組みを開始している一方で、準備の進度や具体的な対応内容にはばらつきがあるという現状が明らかになりました。
特に、「影響額の試算」や「リースの識別」など、制度解釈に基づく判断や情報整理に関する課題が上位に挙がっており、経理部門だけでは完結しない全社的な連携と整備が求められています。

さらに、影響評価においては「自己資本比率」などの財務指標が重視されており、「見せ方」に対する意識の高さがうかがえます。
制度上の解釈に裁量の余地が残る「リース期間」や「少額資産」などの会計論点は、社内外の方針調整を伴う複雑な検討事項となっており、時間と労力を要する領域です。
税務との乖離に関しても、約9割の企業が何らかの影響を見込んでおり、制度対応が単なる会計処理の範囲に留まらない広がりを見せていることが読み取れます。

こうした背景を踏まえると、まずはじめに重要なのは「制度全体をどう解釈し、どのような方針で対応していくか」という社内方針の整理・可視化です。

特に、判断の分かれやすい論点や適用対象の選定においては、各企業の状況に即した方針を事前に明確にしておくことで、その後の準備対応がスムーズに進みます。
準備にあたり、外部サービスを活用する企業も、自社主導で対応する企業も、制度全体を理解し、社内の検討体制や判断軸を整備することで、実務対応の負担や遅れを最小限に抑えることが可能です。

新リース会計基準という大きな制度変更に対し、この「方針整理フェーズ」への取り組みが、第一のアクションとして求められるでしょう。


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