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2023/07/23

海外拠点の固定資産管理を考える 第1回
内部統制報告制度と在外子会社

在外子会社の固定資産管理の実態をどこまで把握できていますか?

「四半期決算ごとに現地担当者から現地監査済みの固定資産台帳と償却計算結果が送られてきており、現地での監査も通っているから問題ない。」と思っていても、在外子会社の固定資産管理業務には内部統制上のリスクが多々潜んでいるケースがあります。


在外子会社が「重要な事業拠点」に!?

2008年に金融庁が「内部統制報告制度」を定め、上場企業においては財務報告の信頼性を高めるために「内部統制報告書」の提出が求められています。しかし、不適切会計の件数は近年増加傾向にあり、2022年度は55社56件の不適切な会計処理が発生しております。

不適切な会計処理が減少しない背景として「内部統制報告制度」の形骸化が指摘されております。2023年4月に金融庁から「内部統制報告制度の改訂に関する意見書」が提出され、上場企業に対して厳格な内部統制報告制度の運用が求められるようになりました。特に注目すべきは、内部監査の対象となる重要な事業拠点の代表例として「海外に所在する事業拠点」が明記された点です。これは在外子会社が特に内部統制上の問題となるリスクが高いことを示しています。


不正の8割が資産の不正流用、損失額は財務諸表不正が最多!

ACFE(公認不正検査士協会)のレポートによれば、世界の企業不正の発生件数の8割が「資産の不正流用」となっております。また不正発生による企業の損失額は「財務諸表不正」による損失が最多となっています。

固定資産管理の観点では資産の横領、転売などの「資産の不正流用」と、減価償却費の不正計上による「財務諸表不正」の双方が関連していますが、各国の税務基準への対応が必須であることから、現地担当者に管理を一任することが多く、結果としてブラックボックス化しやすい領域となります。

資産の横領・転売は主に現場担当者が、減価償却費の不正計上は現地マネージャークラスが不正を行う主体となります。本社側では不正が行われた後の固定資産台帳が連携されるため、台帳情報のみでは資産の実態を把握することは難しいのが現状です。


台帳と現物のチェックで統制強化

在外子会社の固定資産チェックの第一歩は、固定資産台帳に計上されている資産が存在しているか、費用化すべきものが資産計上されていないかを確認することです。現地視察を行う際は、固定資産台帳と現物の一致を重点的に確認することが望ましいです。近年ではコロナの影響で現地視察ができないケースがありますが、その場合は台帳と合わせて資産の写真を送付してもらうことで、本社側からのチェックを強化するとよいでしょう。


執筆者プロフィール

株式会社プロシップ 海外事業部 部長代行 藤田 友秀

2015年にプロシップに入社。

主にグローバル企業向けの固定資産管理システムの提案に従事。IFRS16対応プロジェクトにも携わる。

2018年から中国拠点も兼任し、日系企業向けの固定資産管理とリース資産管理の高度化に関するテーマでの情報発信を行っている。

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