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2024/03/08

日本のリースに関する会計基準 第12回:IFRS適用企業も修正の必要が出る要素を考察する

基準最終化に向けて審議が進んでいる新リース会計基準について、開発の基本方針として公開草案には以下が記載されています。
「借手の会計処理に関してIFRS第16号と整合性を図る程度については、IFRS第16号のすべての定めを取り入れるのではなく、主要な定めの内容のみを取り入れることにより、簡素で利便性が高く、かつ、IFRS を適用して連結財務諸表を作成している企業が IFRS第16号の定めを個別財務諸表に用いても、基本的に修正が不要となる会計基準とする」

そのため、IFRS適用企業は基本的に修正なしに単体の財務諸表への適用ができると考えられますが、いくつかの検討事項があるため、ここではその内容についてご紹介します。

グループ間取引における個別財務諸表への使用権資産の計上

グループ間取引は連結上は相殺消去の対象となるため、IFRSにおいてグループ間取引は対象に入っていません。しかし今後は単体財務諸表の適用にあたり、グループ間取引は子会社での使用権資産計上が新たに必要となるため留意が必要となります。
また相殺消去にあたり、仮に親会社の資産を子会社に貸している場合で、親会社の貸し手側の処理はオフバランス、子会社の借り手側はオンバランスにとなる場合、子会社単体で計上している使用権資産の消去先がないため、連結上どのような相殺仕訳を起こすのかの検討が必要となります。

選択要素のある基準への対応

新リース会計基準ではIFRS16号の主要な定めのみを取り入れる、としているため、日本のリース会計基準の一部は、現在の選択適用できる要素が残る予定です。代表的なものは次に示すものになります。

①重要性の金額基準
②再リースの取り扱い
③利息計算の取り扱い

現行の日本基準の実務に深く浸透している要素になりますが、いずれもIFRS上の規定にない条項になるため、IFRSの連結数値に合わせて変更をするのか、現行基準を踏襲するのかの検討が必要となります。

①重要性の金額基準
現行の公開草案では、以下いずれかの選択適用が可能となっています。
(1)企業の事業内容に照らして重要性の乏しいリースで、リース契約1件当たりの借手のリース料が300万円以下のリース
(2)原資産の価値が新品時におよそ5千米ドル以下のリース
日本基準において多くの企業が、現行は300万基準を採用していると考えられるため、これを踏襲する場合はIFRSとの数値差異が出る可能性があります。

②再リースの取り扱い
現行の日本基準では、再リース期間は原則として発生時の費用として処理することが認められおり、公開草案でも踏襲する旨の記載があります。そのため、IFRS上で再リース期間もオンラバンスのリース期間に含めている場合はIFRSとの数値差異が出る可能性があります。

③利息計算の取り扱い
現行の日本基準では、未経過リース料の期末残高に重要性が乏しい場合、利子込み法又は利息定額法が認められており、公開草案でも踏襲する旨の記載があります。一方でIFRSの場合は多くの企業が利息計算を実施しているため、利息計算に相違があるとIFRSとの数値差異が出る可能性があります。



執筆者プロフィール

株式会社プロシップ システム営業本部 取締役本部長 巽 俊介

2006年にプロシップに入社。

以来、大手・優良企業を中心としたお客様の数多くのソリューション提案に携わる。その現場で得た知見やノウハウをもとに、お客様の事例や現場の生の声を中心に固定資産の制度変更に関する情報を発信。

2014年からIFRS推進室長、2020年から制度対策推進室長、2023年からはリース会計ソリューション推進室長として最近は『日本国におけるリースに関する会計基準適用の影響と対応への勘所』をテーマにセミナー講師としても積極的に活動している。

リース会計ソリューション推進室 室長 巽俊介

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