お役立ち情報 2024/06/06 日本のリースに関する会計基準 第13回新リース会計基準の公開草案からの修正可能性について考察する 連載記事_新リース 昨年5月2日に公表されたリースに関する会計基準(以下、新リース会計基準)の公開草案について、パブリックコメントを受けて昨年9月より再審議が行われています。 審議は現在進行形で続いていますが、既に公開草案から複数箇所の変更が入ることが、審議の中で提案されています。いずれも円滑な制度適用に向けた修正であるため、今回は修正の可能性がある条文についてご紹介します。※あくまでも修正の可能性がある条文の紹介となります。今後基準最終化に伴い修正されない場合もありますので、あくまで参考情報としてご参照ください。 なお、気になる最終基準化の時期ですが、現時点でも未決事項が複数残っていることから、夏以降の公表になる可能性が高いと考えられます。 また今回の内容は、8月22日開催のセミナー「新リース会計基準の審議の動向と修正可能性について」でさらに深堀して解説します。是非セミナーにもご参加ください。 少額資産リースの取り扱いに関する修正 少額資産について、公開草案からの修正は主に以下4点が提案されています。 ➀300万円基準の判定における対象期間 公開草案では、「借手のリース料が300万円以下」のリースについてオフバランス処理を認めており、閾値となるリース料については、延長オプション等を考慮した借手のリース期間に基づくことを提案しています。この点が、原則として借手のリース期間で判定するものの、契約期間で判定することも認める方向で検討が進められています。 ②米ドルベースでの閾値の設定 公開草案では、オフバランス処理を認める少額リースについて、「300万円以下」もしくは「原資産の価値が新品時におよそ5千米ドル以下」のいずれかの閾値を選択としています。しかし「金額は日本円で定めるべき」との意見を受け、適用指針本文では「原資産の価値が一定金額以下のリース」とのみ定め、結論の背景として「当該定めがIFRS第16号における原資産が少額であるリースの取扱いとの整合性を図ったものであること」を追記する対処が図られる予定で、検討が進められています。 ③300万円基準の適用単位 公開草案では、300万円基準の判定において、複数の契約を結合する前のリース契約で判断するのか、結合後のリース契約で判断するのかについて明らかにしていません。この点について、300万円基準の判定においては契約の結合を求めないこととし、その旨を結論の背景に記載する予定で検討が進められています。 ④300万円基準判定時の維持管理相当額の扱い 300万円基準の判定は現行のリース基準を踏襲し、契約対価から維持管理費用相当額の合理的見積額を除くことができる取扱いを追加する予定で検討が進められています。 借り手のリース期間に関する修正 借り手のリース期間における公開草案からの修正は、主に以下2点が提案されています。 ➀延長又は解約オプションの行使可能性に関する「合理的に確実」の閾値の明確化 公開草案では借手のリース期間は、解約不能期間に借手が行使することが合理的に確実である延長オプション期間、及び、借手が行使しないことが合理的に確実である解約オプション期間を加えて決定することを提案しています。この「合理的に確実」とはどの程度なのかという点について、適用指針案BC22項では、Topic 842(米国会計基準のリース)で示されている”「発生する可能性の方が発生しない可能性より高いこと(more likely than not)」よりは高いが、「ほぼ確実(virtually certain)」よりは低いであろう”という「合理的に確実」の閾値に関する判断を、参考として記載しています。この記載によって閾値の高さの程度は明らかになっているものと考えられますが、どの程度の閾値であるのか明確化を求める意見があり、結論の背景に「合理的に確実」の閾値が高いことを直接的に明示される予定で検討が進められています。 参考:企業会計基準適用指針公開草案第73号「リースに関する会計基準の適用指針(案)」(P.41にBC22項が記載されています) ②リース期間の「合理的に確実」の閾値に関する設例の追記 適用指針案の設例8-5(小売業における新規出店における契約)が、以下のように修正となる予定で検討が進められています。 (1) 経済的インセンティブを生じさせる要因に関する、事実関係の分析を追加する。 (2) 考えられるシナリオを用意し、延長オプション及び解約オプションの行使可能性に関する「合理的に確実」の判断の思考プロセスの説明を追加する。 (3) 「合理的に確実」の判断の参考となるように、グラフを追加する。 参考:企業会計基準適用指針公開草案第73号「リースに関する会計基準の適用指針(案)」の設例(P.33に設例8-5が記載されています) 今回の内容は、上記セミナーでさらに深堀して解説します。是非セミナーにもご参加ください。 執筆者プロフィール 株式会社プロシップ システム営業本部 取締役副本部長 巽 俊介 2006年にプロシップに入社。 以来、大手・優良企業を中心としたお客様の数多くのソリューション提案に携わる。その現場で得た知見やノウハウをもとに、お客様の事例や現場の生の声を中心に固定資産の制度変更に関する情報を発信。 2014年からIFRS推進室長、2020年から制度対策推進室長、2023年からはリース会計ソリューション推進室長として最近は『日本国におけるリースに関する会計基準適用の影響と対応への勘所』をテーマにセミナー講師としても積極的に活動している。 お役立ち情報の一覧 に戻る 関連製品 新リース会計影響額試算ソリューション未設定ProPlus固定資産システムノウハウを集結し、あらゆる業種・業態の企業にマッチする固定資産管理機能を豊富に搭載。企業のIFRS適用も強力に支援。詳細を見るProPlusリース資産管理システム契約/物件情報管理、支払管理、開示資料作成などリース管理業務全般を効率化。詳細を見る 導入事例 各業界の大手企業、2社に1社がProPlusを採用しています。上場企業を中心に、あらゆる業種、業態、規模の企業に幅広く導入されています。 導入事例を見る セミナー情報 プロシップでは定期的に、固定資産管理に関連するセミナーを開催しています。 セミナー情報を見る