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2024/08/14

日本のリースに関する会計基準 第14回
新リース会計基準の適用時期は2027年4月からが濃厚に!

2023年5月2日に公表されたリースに関する会計基準の公開草案について、2024年7月の企業会計基準委員会(以下、ASBJ)第529回、第530回にて適用時期が議論されました。その中で事務局から「原則的な適用時期については、現状の審議状況から、2年超の準備期間が確保できると考えられる2027年4月1日以後開始する連結会計年度及び事業年度の期首から適用する」との提案がなされたことが審議資料に明記されています。
本提案に対して、審議会の中では大きな反対意見は聞かれず、このまま確定される可能性が高まっています。


基準公開から強制適用までの準備期間は2年となる見込み

審議会の中では以下の理由により、「準備期間は2年間」として2027年4月からの適用が提案されています。

① これまでにASBJが公表してきた会計基準については、会計基準の公表から強制適用の時期までが1年程度のものが多く、リース会計基準の適用時期についても、これまでのASBJにおける経緯を踏まえて検討すべきと考えられる。

② IFRS第16号の強制適用時期が2019年1月、Topic842(米国会計基準)における公開企業の強制適用時期もほぼ同時期であったことから、審議時点で我が国における実務が国際的な実務と異なる期間が既に4年経過している。

③ 2年間の適用期間を設ける場合、我が国における実務が国際的な実務と整合的なものとなるまでの期間に時間差が生じることになる懸念はあるものの、リースの識別を始め、これまでとは異なる実務を求めることになることから、会計基準の公表から強制適用までの期間は1年程度ではなく、2年程度として提案を行っている。

④ 改正リース会計基準等の適用開始にかかる実務上の負担への対応として、IFRS第16号において適用初年度における実務上の負担を軽減するために設けられた経過措置について、我が国の改正リース会計基準等を基礎とした場合に関連すると考えられるものをすべて取り入れ、また、それに加えて我が国特有の経過措置の定めの提案も行っている。

基準開発時に想定していなかった事態に備えるための条文の追加

会計システムへの対応及び税法への対応に関して、現時点では事務局提案の適用時期で間に合うのか不透明さがあることから、基準書の結論の背景に以下文言が追加される予定です。
「会計基準における定めが明確であるものの、これに従った処理を行うことが実務上著しく困難な状況が市場関係者により識別され、その旨ASBJに提起された場合には、公開の審議により、別途の対応を図ることの要否をASBJにおいて判断する」。

この内容は収益認識の会計基準の第96条にも記載があり、同様の内容となる予定です。

【参考】収益認識会計基準第96項
2018 年会計基準の実務への適用を検討する過程で、2018 年会計基準における定めが明確であるものの、これに従った処理を行うことが実務上著しく困難な状況が市場関係者により識別され、その旨当委員会に提起された場合には、公開の審議により、別途の対応を図ることの要否を当委員会において判断することとした。

執筆者プロフィール

株式会社プロシップ システム営業本部 取締役副本部長 巽 俊介

2006年にプロシップに入社。

以来、大手・優良企業を中心としたお客様の数多くのソリューション提案に携わる。その現場で得た知見やノウハウをもとに、お客様の事例や現場の生の声を中心に固定資産の制度変更に関する情報を発信。

2014年からIFRS推進室長、2020年から制度対策推進室長、2023年からはリース会計ソリューション推進室長として最近は『日本国におけるリースに関する会計基準適用の影響と対応への勘所』をテーマにセミナー講師としても積極的に活動している。

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