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2024/09/14

日本のリースに関する会計基準 第15回
新リース会計基準公表!公開草案からの変更点と税制改正の可能性

2024年9月13日に「リースに関する会計基準(以下、新リース会計基準)がついに公表され、2027年4月以降の会計年度から強制適用が決定しました。また公開草案が昨年5月2日に公表されてから、1年以上かけて議論を行った結果、実務の負担に考慮し公開草案から一部変更になった箇所があります。

ここでは複数ある公開草案からの変更点のうち、実務負荷の軽減につながる2つの主要な変更点と今後の税制改正の動向について解説します。

少額リースの判定で利用する 300万円基準における判定期間の例外追加

個人的にはこの変更が最も実務負担の軽減につながる変更と考えます。新リース会計基準におけるリース期間は自動継続などにより「延長」されたり、「解約」されたりする可能性がある場合には、契約での取り決めとは異なる期間にわたって、リース負債を計算することが求められます。つまり契約期間≠リース期間とならない可能性があるため、300万基準の判定においても実務負担が増える懸念が示されておりました。
この懸念をうけて、300万基準の判定においては契約に定められた契約期間によって判定ができることも認める例外規定が追加されました。

これにより、まずは契約期間をベースにオンバランス判定ができるため、例えば社宅などで契約期間が2年の場合、月額12万5千円以下であれば自動的にオフバランスとすることが可能となり、実務負荷の軽減につながると考えられます。

リース期間における「合理的に確実」の閾値の明確化

新リース会計基準におけるリース期間の定義は「解約不能期間+合理的に確実な延長、解約オプション期間」とされています。何をもって「合理的に確実」の閾値が不明確であるとの意見を踏まえて、適用指針においてリース期間における「合理的に確実」は、蓋然性が相当程度高いことを示していることを結論の背景に追記し、合わせて設例8(借手のリース期間)について見直しが行われています。

まず、適用指針BC29項に「合理的に確実」は、蓋然性が相当程度高いことを示しているの一文が追加されました。BC29項には米国会計基準の文脈もあることから、閾値は相当に高いことが示されています。また設例8において普通借家及び普通借地契約におけるリース期間の考え方が具体化されたことで、今後、自社のリース期間の決定にあたっての理論武装の参考になると考えられます。

▼参考
リースに関する会計基準の適用指針
リースに関する会計基準の適用指針(設例)

令和7年度税制改正に盛り込まれる可能性

2024年9月時点で既に財務省や経済産業省などの各省庁からリース会計の変更に伴い、企業の負担ができるだけ生じないよう適切な税制上の措置の要望が要望が出されています。

個人的な見解となりますが、年末に公表される予定の令和7年度税制改正大綱において法人税、消費税等の改正が入ると想定しています。また外形標準課税における純支払賃借料は、今後会計上のPL科目は「賃借料」から「減価償却費」と「支払利息」に変更になるため、何らかの改正が行われる可能性が高いと考えられます。

執筆者プロフィール

株式会社プロシップ システム営業本部 取締役副本部長 巽 俊介

2006年にプロシップに入社。

以来、大手・優良企業を中心としたお客様の数多くのソリューション提案に携わる。その現場で得た知見やノウハウをもとに、お客様の事例や現場の生の声を中心に固定資産の制度変更に関する情報を発信。

2014年からIFRS推進室長、2020年から制度対策推進室長、2023年からはリース会計ソリューション推進室長として最近は『日本国におけるリースに関する会計基準適用の影響と対応への勘所』をテーマにセミナー講師としても積極的に活動している。

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