よくわかる!新リース会計基準ガイド
新リース会計基準とは?

2024年9月13日に、リースに関する会計基準(以下、 新リース会計基準)の最終基準書が公表され、2027年4月以降の会計年度からの適用が決定しました。
日本のリース会計基準は、そもそもなぜ改正の流れとなったのでしょうか?
そして新リース会計基準は、現行のリース会計基準とは何が変わるのでしょうか?気になる適用スケジュールについても見ていきましょう。

日本のリース会計基準の歴史と改正の背景

まずは日本のリース会計基準の歴史について見ていきましょう。

我が国のリース会計基準の制定は1993年まで遡ります。1993年、リース会計情報の開示を目的として、リース会計基準が公表されました。その特徴は、リース取引をファイナンスリースとオペレーティングリースに区分し、ファイナンスリース取引は売買取引(オンバランス)、オペレーティングリース取引は賃貸借取引(オフバランス)と定めた点です。

しかし、ファイナンスリース取引は売買処理を原則としながらも、所有権が移転しないファイナンスリース取引は、例外的に一定の注記を条件に賃貸借取引(オフバランス)として処理することも認められていました。そのためほとんどの企業がこの例外処理を採用して注記のみの開示とし、リース取引はオンバランスされてこなかった経緯があります。

その後90年代後半からのいわゆる会計ビックバンの流れの中、国際的な会計基準との調和を図る観点で2007年にリース会計基準が改正となり、所有権移転外ファイナンス・リース取引の例外処理は廃止され、売買取引(オンバランス)として処理されることになりました。

一方、リース会計をめぐる国際的な動きでは、オペレーティングリースが固定資産と同様に収益を上げるために利用されているにも関わらずオフバランスされている、という点が以前から問題視されていました。そして2016年にIFRS(国際会計基準)のリースが改正され、オペレーティングリースを含む全ての借手のリース契約を原則オンバランスとするIFRS16号が公表されています。

日本のリース会計基準は、2007年の改正によって当時の国際的な会計基準と整合的なものとなっていましたが、IFRS16号の公表により再び違いが生じることとなりました。これらの背景を踏まえ、日本国内においても2019年3月にASBJ(企業会計基準委員会)より、全ての借手のリース契約をオンバランスとする会計基準(新リース会計基準)の開発に着手する旨が公表されました。

その後、2023年5月2日にIFRS16号をほぼ踏襲する形でリースに関する会計基準の公開草案が公表され、約1年間の議論を踏まえ、2024年9月13日に最終基準書が公表されました。

借手のリース契約は原則全てオンバランス計上に

新リース会計基準は、現行のリース会計基準とは何が変わるのでしょうか?

現行のリース会計基準では、オペレーティングリースとファイナンスリースの2種類の契約があります。B/Sへのオンバランス計上はファイナンスリースのみとなり、その中でもリース料総額が300万円以上など、重要性のある契約のみが対象になります。

新リース会計基準適用後には、借手のリース契約は2種類ではなく単一となるため、重要性のある契約は全てB/Sへ、使用権資産及びリース債務としてオンバランス計上が必要となります。

新リース会計基準の会計処理

原則、全ての借手リースに対して現行のファイナンスリース取引と類似の処理を行います。

リースの定義が変わるため、リース契約が増える可能性も

新リース会計基準におけるリースの定義は「原資産を使用する権利を一定期間にわたり対価と交換に移転する契約又は契約の一部分」と規定されています。従って、お金を払って使用する権利を得ている取引は全てリースであり、使用権資産として計上する必要があります。そのため契約書に「リース」と記載があるかどうかに関わらず、建物賃貸借契約などもリースになることに注意が必要です。

新リース会計基準でリースに該当するもの

新リース会計基準の適用時期

2024年9月13日に、新リース会計基準の最終基準書が公表されました。最終基準書公表から2年間の準備期間を置いて、2027年4月以降に開始する事業年度より強制適用となります。

3月決算企業の想定スケジュール

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