よくわかる!新リース会計基準ガイド
IFRS16適用から学ぶ対応のポイント

新リース会計基準は、2019年から適用されているIFRS16号と同様の基準で作成されているため、IFRS16号の適用事例がとても参考になります。

IFRS16適用時、多くの企業が苦労された点とはどんなものだったのでしょうか?
IFRS適用企業へのヒアリングから考察すると、IFRS16適用時に苦労した点の上位3つは下記となります。
いずれも一定の対応期間を設けた検討が必要です。

1位:関係部署からの情報収集(対象契約の洗い出しなど)

2位:システムへの移行データの作成

3位:グループ会社展開(制度説明、情報収集、システム対応)

1位:関係部署からの情報収集(対象契約の洗い出しなど)

多くの企業で、現在システムに登録されているのはファイナンスリースかつ300万円以上の、オンバランス対象契約のみと想定されます。新リース会計基準では不動産リースや実質リースも含めてオンバランス対象となるため、まずは現在オフバランスになっているそれらの対象契約について、本社経理部が中心となって契約の洗い出しを進める必要があります。ここが、最も労力のかかるポイントです。

図①は、契約書を洗い出す際の整理資料のサンプルです。対象となりえる契約について、件数や金額の他、業務影響を測るためには現在の管理方法や管理部署も整理することが重要となります。

図①:契約整理資料のサンプル

2位:システムへの移行データの作成

新リース会計基準にて新たにオンバランス対象とする契約は、管理システムへの登録が必要となります。登録にあたっては紙からデータへの変換及び不足項目の入力をする必要があります。
不動産リース契約など現在紙でしか管理していない場合、それらをCSVなどの形式でデータとして作成する必要がありますが、そのためには各現場で管理している紙の契約書を収集しなければなりません。
また、契約書に記載のない項目でシステム登録に必要なデータがあります。管理するセグメント情報や会計処理に必要な情報(会計上のリース期間や割引率など)等が該当しますが、契約毎にそれらの項目を追加で登録の上、移行データを生成していく必要があります。

3位:グループ会社展開(制度説明、情報収集、システム対応)

新リース会計基準は連単統一の観点で、単体及び連結決算のいずれにも適用が必要となります。そのため、まずはグループで統一した会計方針を検討の上、子会社担当者へ展開していく必要があります。
子会社側からすれば、親会社の方針待ちの状態が長引くことが対応の遅れに繋がりますのでグループ展開も含めたスケジュールを早期に検討することが重要になります。
またグループで統一したシステムを利用している場合は、システム対応のスケジュールも合わせての検討が必要となります。

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