よくわかる!新リース会計基準ガイド自社への影響を確認しよう 新リース会計基準は、財務諸表に大きな影響を与えることが想定されます。既にIFRS16を適用している企業の開示情報を見ると、その大きさがよく分かります。 財務諸表の様々な項目に影響が… 不動産リースの多い多店舗・他拠点展開をしている小売業では、IFRS16号適用に伴い資産と負債が約2倍に膨らんだケースもあります。また影響が及ぶのは資産・負債だけではなく、財務諸表の様々な項目に影響があります(図(1)参照)。 資産の増加に伴うROAの低下がある一方で、EBITDAや営業キャッシュフロー、営業利益にはプラスのインパクトがあります。 新リース会計基準では、現行基準で主に販管費として処理している支払家賃が「減価償却費+支払利息」として計上されるため、EBITDAは増加します。また、この減価償却費は販管費に入りますが、利息は営業外費用として扱われるため、営業利益が増加する要因となります。 図(1):財務指標のKPIへの影響 適用に伴う影響額の試算は、3段階で実施 新リース会計基準適用にあたっては、適用に伴う影響額を経営層に報告することが欠かせません。減損リスクの増加、有利子負債の増額に伴う格付けへの影響、PBRやROA低下への影響など、経営観点でも重要なKPI等への影響が想定されます。 また、新リース会計基準が与える影響への理解を経営層に促進することが、社内のプロジェクト推進を円滑に進める事にも繋がります。 新リース会計基準適用に伴う自社の影響額の試算は、現在ある情報を基にまずは概算でのインパクト分析を行い、その後に契約書を洗い出し、より精緻な影響額の試算を進めることになります。多くの企業では、下記3段階に分けて実施されることになるでしょう。 1段階目:概算でのインパクト分析 現在開示しているオペレーティングリースの解約不能未経過リース料や、比較的直ぐに手に入る情報を基にしたインパクト分析です。 ただし、今開示している未経過リース料はあくまで契約に記載のある期間を会計上のリース期間としているため、 このリース期間が延長になる場合、その影響額も変わってきます。そのため最もミニマムな影響額となる点に注意が必要です。 2段階目:各現場の契約書を洗い出した上での試算 自社の会計方針や新業務プロセスの策定にあたり、各現場の契約書を洗い出した上での試算が必要となります。これらのデータを基に、自社の重要性基準等を決定していく必要があります。 当社では、社内の不動産リース契約情報を漏れなく収集するための「調査票」をご用意しています。本調査票は新リース会計基準適用に向けて、現状把握と影響額の分析をするために必要な項目をまとめており、実際の契約書から本調査票に情報を入力することで、不動産リースにおける新リース会計基準適用時の影響額の試算に役立てることができます。本調査票は、当社のセミナーにご参加いただいた方に無償配布しておりますので、是非セミナーにご参加ください。 3段階目:システム移行に必要な精緻な試算 最後はシステム移行のための影響額試算です。経過措置の適用有無を含め、移行に必要な精緻な試算が必要となります。 当社では、新リース会計基準の影響額試算ソリューションを提供しています。リース料など、契約書に記載の最低限の情報入力で試算することができ、提供はSaaS形式となるためグループ会社への展開も容易です。また本ソリューションはIFRS16号での事例をもとに開発しており、複数のパターンで試算することもできますので、精度の高い数値算出が可能です。 次のステップ:会計方針や業務プロセスを検討しよう よくわかる!新リース会計基準ガイドに戻る